この記事では、牛乳アレルギーに対しての禁忌の薬剤、使用に注意しなければならない薬剤をまとめています。
牛乳アレルギーとは?
牛乳アレルギーは食物アレルギーの一種であり、乳幼児では卵に次いで2番目に発症頻度が高いアレルギーです。
牛乳に含まれるカゼインやβ-ラクトグロブリンなどの乳タンパク質が原因であり、摂取により腹痛、下痢、蕁麻疹、呼吸困難、アナフィラキシーショックなど多様な症状を引き起こします。
乳幼児期に多く見られ、3歳頃までに自然治癒する例が多いものの、学童期以降も耐性を獲得できない症例も報告されています。
乳糖不耐症との違い
乳糖不耐症とは、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素であるラクターゼが、小腸で十分に分泌されないことが原因で起こります。
主な症状は、乳糖の消化不良による腹部膨満や下痢などの消化器系の症状です。
牛乳アレルギーと乳糖不耐症は、同じ牛乳摂取に関連する症状を示しますが、原因が異なるため区別して考える必要があります。
牛乳アレルギーへの禁忌の薬一覧

乳タンパク質であるカゼインが含まれる医薬品が、牛乳アレルギーに対して禁忌となっています。
タンニン酸アルブミンが牛乳アレルギーに対して禁忌であることはよく知られていますが、経腸栄養剤もほとんどが使用禁忌です。
乳糖の使用について
乳糖そのものは牛乳アレルギーの原因ではありませんが、乳糖の製造過程では微量の乳タンパク質が混入してしまうため可能性があるため注意が必要です。
特に、乳糖が使用されている吸入薬、注射薬は過去にアナフィラキシーを発症した報告があり使用を避けることが望ましいと思われます。
乳酸菌製剤について
乳酸菌は菌の名称であり、牛乳そのものとの直接的な関連はありません。よって、牛乳アレルギーへの使用は可能です。
過去、一部の乳酸菌製剤は、製造時の菌の培地(脱脂粉乳、ペプトン)にカゼインが使用されており、牛乳アレルギーに対しては投与禁忌となっていました。
エンテノロン-R散(販売終了)、ラックビーR散(使用可能に製造変更)などが該当しましたが、近年販売されている整腸剤のほとんどは、牛乳アレルギーに対して使用は可能であると思われます。
ウシ乳由来成分について
一部のワクチンには、「製造工程においてウシ乳由来成分」が使用されています。
しかし、最終製品中には成分がほとんど残存していないことから、牛乳アレルギーとの関連は低いと考えられます。
したがって、アレルギーの有無にかかわらず、接種対象のワクチンに対してアナフィラキシーの既往がなければ、「ウシ乳由来成分」のワクチン摂取は可能です。



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