この記事では、卵アレルギーに対しての禁忌の薬剤、使用に注意しなければならない薬剤をまとめています。
卵アレルギーとは?
卵アレルギーは、食物アレルギーの一種であり、乳幼児では最も発症頻度の高いアレルギーです。
主な原因となるのは、卵白に含まれるタンパク質です。代表的なアレルゲンとして、オボアルブミンやオボムコイドなどが知られています。
特にオボムコイドは熱に強く、加熱してもアレルゲン性が低下しにくい特徴があります。
卵アレルギーに禁忌・注意する薬剤
卵アレルギーに対して注意しなければならない薬剤は、リゾチーム塩酸塩やワクチン製剤などがあります。
リゾチーム塩酸塩
| 用途 | 商品名 | 一般名 | 卵白アレルギーとの関連 |
|---|---|---|---|
| 経口 | ノイチーム レフトーゼ アクディーム | リゾチーム塩酸塩 (販売中止) | 禁忌 |
| 外用(軟膏・貼付剤) | リフラップ軟膏 リフラップシート | リゾチーム塩酸塩 (販売中止) | 禁忌 |
| 点眼 | ムコゾーム点眼液 0.5% リゾティア点眼液 | リゾチーム塩酸塩 (販売中止) | 禁忌 |
リゾチームは卵白に含まれるタンパク質の一つです。そのため、卵アレルギーの患者では、リゾチーム塩酸塩を含む医薬品の使用に注意が必要です。
現在、医療用のリゾチーム塩酸塩製剤の多くは販売中止となっていますが、OTC医薬品にはリゾチーム塩酸塩を含む製品が残っています。卵アレルギーのある人が使用できない製品もあるため、製品ごとの添付文書を確認する必要があります。
【リゾチームを含むOTC医薬品】
パイロンAM錠、アネトンせき止めZ液、キナゲントローチ、アイルビーALなど

インフルエンザワクチン
卵アレルギーに対して、インフルエンザワクチンの接種は
基本的には可能ですが注意が必要となります。
添付文書では「鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者」は接種要注意者とされています。
インフルエンザワクチンは鶏卵を用いて製造されるため、鶏卵由来のタンパク質がごく微量に残存する可能性はありますが、
混入する鶏卵タンパク質は数ng/mL以下であり、全身性のアレルギー反応を呈す可能性は少ないと考えられます。ただし、重篤なアナフィラキシー反応を来した既往の方には慎重な対応が望まれます。
黄熱ワクチン
黄熱ワクチンも、インフルエンザワクチンと同様に
基本的には接種可能ですが注意が必要です。
鶏卵を用いて製造され、添付文書でも「鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者」は接種要注意者となっています。
ソナゾイド注射用16μL
ソナゾイドは、超音波診断用の造影剤で、主に肝腫瘤の診断に使用されます。
添加物として、鶏卵由来の安定剤「水素添加卵黄ホスファチジルセリンナトリウム」が使用されており、卵又は卵製品にアレルギーのある患者では、アレルギー症状を発現するおそれがあります。
添付文書では、特定の背景を有する患者に関する注意の項に「卵又は卵製品にアレルギーのある患者」が記載されています。
まとめ
卵アレルギーの患者では、以下の医薬品・ワクチンを使用する際に注意が必要です。
- リゾチーム塩酸塩を含む医薬品
- インフルエンザHAワクチン
- 黄熱ワクチン
- ソナゾイド注射用16μL
これらは、卵白に含まれる成分や鶏卵由来の成分などが含まれていることから、卵アレルギーの患者ではアレルギー反応を起こす可能性があります。
ただし、卵アレルギーがあることだけで、一律にすべての医薬品・ワクチンが使用できないわけではありません。薬剤ごとの卵由来成分の有無や添付文書の記載を確認し、患者のアレルギー歴を踏まえて判断することが重要です。
