リゾチーム塩酸塩は、かつて「ノイチーム」「レフトーゼ」「アクディーム」などの商品名で販売されていた医薬品です。
錠剤や顆粒剤、シロップ剤などがあり、呼吸器疾患や慢性副鼻腔炎に使用されていました。
しかし、リゾチーム塩酸塩の経口製剤は再評価の結果、医療上の有用性が確認できないと判断され、販売中止となりました。
リゾチーム塩酸塩の作用機序
リゾチームは、ヒトの涙液や唾液などにも存在する酵素です。
細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの結合を分解する作用があり、細菌に対する生体防御に関与しています。
ただし、リゾチーム塩酸塩を経口投与した場合に、体内でどのように作用して治療効果を示すのかについては、十分に解明されていません。
公的資料でも、「本剤の体内での作用機序はなお解明されない点も多く、また、用量・効果の関係も必ずしも明らかにされていない」とされています。
以前の適応症
リゾチーム塩酸塩の経口製剤には、かつて以下のような効能・効果がありました。
- 慢性副鼻腔炎の腫脹の緩解
- 気管支炎に伴う喀痰喀出困難
- 気管支喘息に伴う喀痰喀出困難
- 気管支拡張症に伴う喀痰喀出困難
つまり、主に鼻や気道の炎症・腫脹の改善や、痰を出しやすくする目的で使用されていました。
過去には、これら以外の効能・効果も認められていましたが、再評価に伴って削除されています。
なぜ販売中止になった?
リゾチーム塩酸塩製剤については、医薬品としての有効性を改めて評価する「再評価」が行われました。
その結果、慢性副鼻腔炎を対象とした新たな製造販売後臨床試験では、リゾチーム塩酸塩含有経口剤の有効性が示されませんでした。
PMDAの審査報告書では、提出された資料から、現在の医療環境における本剤の医療上の有用性を確認することはできないと判断されています。
その結果、2016年には「ノイチーム」「レフトーゼ」「アクディーム」などの経口製剤について販売中止・自主回収が行われました。
重要なのは、「危険だったから販売中止になった」というわけではないことです。
主な理由は、安全性上の重大な問題ではなく、現在の医療環境において十分な有効性・医療上の有用性を確認できなかったことです。
まとめ
リゾチーム塩酸塩は、細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンを分解する酵素として知られています。
かつては慢性副鼻腔炎や、気管支炎・気管支喘息・気管支拡張症に伴う喀痰喀出困難などに使用されていました。
しかし、経口製剤について再評価が行われた結果、十分な臨床的有効性が示されず、医療上の有用性を確認できないと判断されました。
そのため、ノイチーム、レフトーゼ、アクディームなどの経口製剤は販売中止となっています。
