喫煙の有無によって、薬の血中濃度や効果が変化することがあります。
その理由の一つが、タバコ煙に含まれる成分による薬物代謝酵素「CYP1A2」の誘導です。
タバコ煙はCYP1A2を誘導する
CYP1A2は、主に肝臓に存在する薬物代謝酵素の一つです。
タバコの煙に含まれる多環芳香族炭化水素がCYP1A2の発現を誘導することで、酵素の働きが強まります。
その結果、CYP1A2で代謝される薬剤では、血中濃度が低下し、効果が減弱することがあります。
禁煙すると薬の血中濃度が上昇することも
喫煙中はCYP1A2が誘導されていますが、禁煙するとその誘導が徐々に弱まります。
そのため、喫煙中に比べて薬物の代謝が遅くなり、薬剤によっては血中濃度が上昇することがあります。
特に、クロザピンやテオフィリンなどでは、血中濃度の変化が副作用や治療効果に影響する可能性があります。
禁煙を開始したことも重要な情報です。
ニコチンがCYP1A2を誘導するわけではない
注意したいのが、「ニコチン=CYP1A2誘導」ではないという点です。
CYP1A2の誘導に関与するのは、主にタバコ煙に含まれる多環芳香族炭化水素です。一方、ニコチンは主にCYP2A6によって代謝されます。
そのため、禁煙時にニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン代替療法を使用しても、喫煙によって生じていたCYP1A2の誘導は維持されません。
CYP1A2に影響を与える代表的な薬剤
| 分類 | 代表的な薬剤・要因 | 主な影響 |
|---|---|---|
| CYP1A2で代謝される薬剤 | テオフィリン チザニジン ラメルテオン オランザピン、クロザピン | 喫煙によって代謝が促進され、血中濃度が低下することがある |
| CYP1A2を阻害する要因 | フルボキサミン 一部のニューキノロン系抗菌薬 | 代謝が抑制され、薬剤によっては血中濃度が上昇することがある |
| CYP1A2を誘導する要因 | 喫煙 | 酵素の発現が増加し、代謝が促進されることがある |

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